もちょる日記

大事なことを言葉として残しておくブログです。

Pseudo-Haptics ~視覚で作る触覚~

(Haptics Advent Calendar 2019 16日目の投稿です.url →https://adventar.org/calendars/4151)

 

Marieです.

0. はじめに

まずは,Haptics Advent Calendarに参加してくださった方,またこうして記事を読んでくださっている方々.本当にありがとうございます.

今までこのカレンダーに寄稿して頂いた記事や,これから寄稿される記事は,よりHapticsを身近に感じることのできるようなものとなると思いますので,ぜひ他の記事にも目を通していただければと思います.

(url →https://adventar.org/calendars/4151)

 

Advent Calendarの所感などは追々,別途の記事で話させていただきたいと思っております.

前置きが長くなってしまい,申し訳ございませんでした.

 

1. 自己紹介

改めまして.Marieです.(Twitter -> @Marie_Haptic)

現在,筑波大学のB2で,他の感覚を触覚で代替する,触覚を用いたモーダル変換の研究をしています.

 

2. 視覚から触覚が提示できる仕組み

今回は,Pseudo-Hapticsについての記事を書いていこうと思います.

Pseudo-Hapticsってなんぞ,っていう人もいると思います.

簡単に言ってしまうと,視覚情報を適度に歪ませることによって,触覚を提示する技術のことです.

 

この説明では,相関がわからないという方も多いと思います.なぜ,視覚を歪ませると触覚に作用するのか.その理由をざっくりと説明して行きたいと思います.

 

突然ですが,先日,堀江さんの寄稿してくださった記事に,こんなことが書いてありました.

(堀江さんの記事はこちらから->http://aratahorie.com/self-motion-haptics)

加速度を感じる度にどこかしらの皮膚に力を知覚していると考えると,相当な学習効果を生んでいると思いませんか?

この例は,運動感覚と触覚との間における学習ですが,これは視覚と触覚との間においても発生するはずです.(視覚と運動感覚,運動感覚と触覚それぞれに相関があったら,そりゃ相関あるやん?)

 

では,相関がある場合,片方の情報を一部分だけ歪めて提示するとどうなるか.

その片方の情報が確からしいと認識しているなら,脳は,片方の情報からもう一方の情報を推察し,補完するのです.言い換えると,視覚を歪めると,都合のいいように脳が解釈し,それに対応する触覚を当てはめ,勝手に感じるのです.

これが,視覚を提示するだけで触覚を感じることのできる仕組みです.

 

人間の視覚情報と受ける触覚を同期させるために,提示されていないはずの触覚を知覚する作用を利用した触覚提示.それがPseudo Hapticsです.

 

まぁ,これだけだとまだどんなものかわかりづらいと思うので,例をあげたいと思います.

3. Pseudo Hapticsの例

マウス,ポインタの速度調整による抵抗感の提示 

 マウスポインタを操作する際に,ある一部分のみ速度を歪めることで,その部分のみ反力を感じさせることができます [1].

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黒いCubeをマウスで操作し,凸になっている部分のみCubeの速度を調整することで,マウスを操作する手に反力を感じさせることができる.
 形状変化の提示

ディスプレイに表示されるオブジェクトの形を変更することによって,オブジェクトの形が多少違くてもその形であると認識することができるというものです [2].

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円柱系のオブジェクトを,実際に触る指と一緒に映像を歪ませることによって,凹凸のあるオブジェクトを触っていると認識させることができる.

動画のurlはこちら->https://www.youtube.com/watch?v=5uEVNtgOcm4&feature=youtu.be

柔軟性の提示

プロジェクタを用いて,布などに,本来とは違う布の歪み方をプロジェクションし,物体の柔軟性を変更することができるというものです [3].

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布の歪み具合をdepthで測った後,適応したい柔軟性の歪みを選択し,プロジェクタで投影することで,その柔軟性をユーザが感じることができる.

まだまだ種類はあるのですが,顕著な例としてこのようなものがあります.

4. まとめ

ここまで読んでくださり,ありがとうございます.

Hapticsは,基本的には提示になにかハードウェアが必要であるのですが,Pseudo Hapticsは自分の認識と齟齬が生まれないように視覚情報をうまく歪めて提示してあげることで,ハードウェアなしに触覚が提示できるというところに面白さがあるんだと個人的には思っております.

大変拙い説明で申し訳ないのですが,Hapticsという分野に少しでも興味を持っていたくきっかけとなれば幸いです.

 

最後に,クッソ読みにくい文章すみません.

 

(この記事のここ間違ってそうとか,この研究載せたほうがいいんじゃない?とかありましたら大変申し訳ないのですが,TwitterのDM解放していますので,リファレンス共に教えていただけるとありがたいです.Rebuttalだします)

 

5. 参考文献

[1] Lecuyer, Anatole, et al. "Pseudo-haptic feedback: can isometric input devices simulate force feedback?." Proceedings IEEE Virtual Reality 2000 (Cat. No. 00CB37048). IEEE, 2000.

[2] Ban, Yuki, et al. "Modifying an identified curved surface shape using pseudo-haptic effect." 2012 IEEE Haptics Symposium (HAPTICS). IEEE, 2012.

[3] Punpongsanon, Parinya, Daisuke Iwai, and Kosuke Sato. "Softar: Visually manipulating haptic softness perception in spatial augmented reality." IEEE transactions on visualization and computer graphics 21.11 (2015): 1279-1288.